謝辞は足を運んでくれた招待ゲストに向けての感謝や、新郎新婦への激励を述べるもの。
新郎が行う場合もありますが、ここでは新郎の父が行う場合の例文をご紹介していきます。結婚披露宴を締めくくるにふさわしい、素晴らしい挨拶の参考になればと思います。
この記事の内容
- 具体的なスピーチの流れ
- スピーチをする際の注意点
- 例文
伝わりにくいところや、言ってほしくないエピソードなどがないか確認してもらいましょう。
スピーチは2分~3分程度
原稿用紙に400から600文字
長くなりすぎないように簡潔にまとめます
基本的にゲストへの感謝と今後のお願いを述べます
当日までに声を出して練習し、できるだけ暗記しておく方がいいでしょう
1具体的なスピーチの流れ
基本的には以下のような構成で謝辞を述べます。
1⃣ 自己紹介
2⃣ 列席者へお礼の言葉
3⃣ 新郎新婦へのお願いやエピソード、列席者へのお願い
4⃣ 結びの言葉
具体的に内容を見ていきましょう。
1⃣自己紹介
まずは新郎新婦と自分との関係を述べます。
新郎の父親が両家代表を勤めることが多いですが、場合によっては新郎の母親や新婦の父親が務めることがあります。その際は角が立たないようにその理由を一言付けるとよりいいでしょう。
ただいまご紹介にあずかりました、新郎の父、○○○○でございます。両家を代表致しまして、皆様に御挨拶を申し上げます。
新郎の父、○○○○でございます。○○家・○○家を代表致しまして、僭越ながらひと言御挨拶を申し上げます。
私は新郎、○○の父、○○○○でございます。ひと言、お礼の御挨拶を申し上げます。
新郎の父親以外の人(新婦の父・新郎の叔父)が代わりに挨拶する場合
新婦の父、○○○○でございます。新郎の父である○○さんが故人となっておりますので、僭越ながら私が両家を代表して、ご挨拶をさせて頂きます。
新郎の叔父にあたります○○○○でございます。新郎の父にかわりまして、両家を代表致しましてひと言お礼のご挨拶を申し上げます。
2⃣お礼の言葉
ゲストの方々へお礼を述べます。今日のよき日を迎えられたことへの感謝の気持ちをを伝えます。
幹事や媒酌人・祝辞を頂いた方へのお礼に加え、天候が悪い場合は「お足元が悪い中・・・」「あいにくの空模様の中・・・」などを付け加える。
本日は、あいにくの空模様にもかかわらず、このように多くの皆さまにご列席を賜りまして、ありがとうございます。
本日はご多用の中、ご足労いただきまして誠にありがとうございます。先程から多くの方からのご祝辞や、温かい励ましの言葉を頂くことが出来ました事を、心より感謝申し上げます。
3⃣ゲストの皆さまへお願い
新郎新婦に向けて、親からの希望や親しか知らない新郎、新婦の幼少期のエピソードを。
また、来て頂いたゲストの方々に今後とも変わらぬお付き合いやご指導・ご鞭撻をお願いします。
○○(息子)は昔からあまり手のかからない子でした。気の優しい性格ですが引っ込み思案な所もあり、彼女ができるのか心配しておりました。そんな息子が初めて○○さん(新婦)を家に連れてきて、私達に紹介した時は本当に驚きました。
本日二人は夫婦となり、新しい人生を歩んでいくことになりました。まだ未熟な二人でございます。今後とも皆さまにはなにかとお世話になることと存じますが、温かいご指導をお願い申し上げます。
至らないところのある二人ですが、どうかこれからも温かく見守っていただき、ご指導とご支援をお願い致します。
本日晴れて夫婦となったふたりですが、これから多くの障害にぶつかることと思います。そんな時はどうか皆さまのお力添えを頂戴したく存じます。
4⃣結びの言葉
ご列席頂いたゲストの方へ、改めてお礼を述べます。
また、主催者側として至らない点があったことをお詫びします。
本日は、ご列席頂いたにもかかわらず、不行き届きな点がございましたことを、どうかお許しください。皆さまのご健康とご多幸を願いつつ、両家代表のあいさつと代えさせて頂きます。本日は誠にありがとうございました。
本日は遠路をお運びいただいたにもかかわらず、慣れない宴席で至らない点があったことをお詫び申し上げます。ご列席の皆さまのご健勝とご多幸をお祈り申し上げ、お礼の挨拶にかえさせて頂きます。本日は誠にありがとうございました。
皆さまのご健勝とご多幸をお祈りして、ごあいさつの結びとさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
2スピーチする際の注意点
忌み言葉・重ね言葉を避ける
結婚式では離婚を連想する縁起が悪い言葉があります。また、重ね言葉は再婚を連想する為、使用を避けましょう。
忌み言葉の例
死ぬ 戻る 離れる 壊れる 冷える 割れる 飽きる 散る 最後 折れる 苦しむ 耐える 色あせる おしまい 最後
重ね言葉の例
くれぐれ いよいよ またまた なかなか だんだん いろいろ 重ね重ね 再び 次々 相次いで 皆々様
スピーチの原稿に書いた内容に、忌み言葉や重ね言葉が使われていないか、今一度チェックしましょう。
もしも場にふさわしくない言葉であれば、同じ意味を持つ言葉に言い換えることが必要になります。
忌み言葉の言い換え例
悪い例 | 言い換え例 |
言葉を贈る | 言葉を捧げる 言葉をはなむけとする |
スタートを切る | スタートラインに立つ 新たに出発する |
嫌いでした | 好きではありませんでした |
お忙しいところ | ご多用の中 |
職場を離れる | 家庭に入る |
終わる | ゴールを迎える お開きにする |
戻る | 赴く |
最後に | 結びに |
ケーキを切る | ケーキにナイフを入れる ケーキ入刀 |
料理が冷めないうちに | 料理が温かいうちに |
重ね言葉の言い換え例
悪い例 | 言い換え例 |
再び また | 今一度 改めて |
いろいろ | 多く 多彩な |
くれぐれも 重々 | 十分に よく どうぞ |
いよいよ ますます | もっと さらに |
ぜひぜひ | ぜひとも ぜひ |
何度も 再三 | 頻繁に |
次々に | たくさん |
たびたび しばしば | よく しげく いつも |
まだまだ | もっと より |
重ねて 重ね重ね | 加えて 深く |
新郎の謝辞の内容とかぶらないようにする
新郎が締めの挨拶をする場合、親は「今後の二人を応援し見守る」「ご列席のゲストへ感謝を述べる」ことが挨拶の内容になります。
あらかじめ新郎や新婦に挨拶の内容を聞いてもらい、すり合わせをしておくといいでしょう。
お酒を飲みすぎない
おめでたい席ということで気分が高揚し、ついつい飲みすぎてしまうことがありますが、飲みすぎは禁物です。いざマイクの前に立つと練習したはずの言葉が出てこなかったり、ろれつが回らない、はたまた千鳥足でマイクまでたどり着けないなんてことも。話がまとまらずにダラダラと話したけれど、結局何がいいたかったのかわからなかった人もいるようです。お酒はほどほどにしましょう。
背筋を伸ばし、メリハリをつけてハキハキと
せっかくの素敵な挨拶も、猫背でボソボソ言っていたのではゲストに伝わりません。何度か練習し、本番に備えましょう。
自分の姿を客観的に見ることが難しいので、誰かに見てもらったりビデオにとったりして確認します。一本調子では聞いている人が退屈してしまったり、間のびした印象になってしまいます。また本番当日は緊張で早口になりがちなので、ゆっくりはっきりと話すことを心がけ、言葉に抑揚をつけましょう。
正しい発声法
- 足を肩幅くらいに開き、まっすぐに立ちます
- 肩や背中の力を抜きます
- お腹の空気を全て吐き切ります
- お腹を膨らませることを意識しながら、息を吸っていきます。
- お腹をへこませていくように意識しながら、空気を前に押し出すように声を出します
顎や喉に力が入ると痛めてしまうかもしれないので、初めは仰向けに寝転がった状態で始めましょう
3例文集
<例文>
ただいまご紹介にあずかりました新郎の父、○○でございます。両家を代表いたしましてご挨拶申し上げます。
本日はご多用中のところ、また遠方より二人の結婚披露宴にご列席賜り、誠にありがとうございます。皆様方のご出席をいただきまして、新郎○○と新婦○○の結婚披露宴をとどこおりなく、相すませることができました。
先ほどより皆様から温かいお祝いや励ましのお言葉を頂戴し、心より御礼申し上げます。今日のよき日を迎えられましたことも、ひとえに皆様のご厚情の賜物であると感謝の思いでいっぱいでございます。
○○(新郎)は小さなころはすごく活発でよく友達と遊びまわっておりましたが、思春期とともに外よりも家の中で過ごすことが増えていきました。もともと人見知りなところがありましたので、学校生活で友達がいないのではないかと家内とともに心配しておりました。
東京に就職が決まり一人暮らしをすることになったときに、少しでも多くの友人やいい同僚に恵まれることを所望しておりましたが、まさかこんな素敵な生涯の伴侶を見つけると思いませんでした。また、本日ご列席頂きました皆さまから私ども親の知らない息子の話を伺い、改めて我が子は皆さまのお力添えにより成長していたのだということを痛感いたしました。
とは申しましても、まだまだ未熟なふたりでございます。なにとぞ今後も、若い二人をお導き下さいますよう心からお願い申し上げます。
慣れない宴席でゆき届かぬ点も多々あったかと存じますが、何卒ご容赦のほどお願い申し上げます。
最後になりましたが、皆様のご健康とご繁栄をお祈り申し上げ、これをもちまして両家の挨拶とさせて頂きます。本日は誠にありがとうございました。
<例文>
ただいまご紹介にあずかりました、新郎の父の○○でございます。
本日はお忙しいところ、○○(新郎)と○○(新婦)さんの結婚披露宴にご出席いただき、誠にありがとうございます。ご列席いただきました皆様からからのお祝いや励ましのお言葉は、二人の人生において大きな支えとなってくれることと思います。本当にありがとうございました。
本日両名は、チャペルで挙式をとり行い、正式に夫婦となることができました。これも、今まで二人を見守ってきてくださった皆様のお力添えあってのことと、深く感謝いたします。
○○(新郎)は昔から凝り性で、興味のあることに対して三度の飯も忘れて没頭する性格でした。その性格が高じて大学では法医学を専攻し、大学院にも通い博士号をもらいました。一つのことに対して真剣に向き合う姿勢が、これからの二人の生活においても力を発揮してくれたらと願っております。
まだ半人前のふたりですので、皆様からの変わらぬご指導、ご支援をいただきたく存じます。
本日は至らないところがありましたこと、お詫び申し上げます。
皆様のいっそうのご発展とご健康をお祈り申し上げまして、御礼の言葉とさせていただきます。本日は、誠にありがとうございました。